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革を促さむとする勢ある事は何人も看取する所なり、蓋し過去四年の大戰に於ける勞働の最急迫なる需要は勞働價値の認識となり隨つて勞働者の自尊心を增長せしむるに至りし事止むを得ざるの大勢なり、思ふに今次戰爭の歷史は英雄武將の名によりて後世に傳へらるべしと雖勝利の月桂冠は一ジヨツフルフオツシユの頭上にのみ捧げらるべきものに非ずして幾百萬の無名の英雄も亦共に其光榮と功勳とを頒たれざる可らず、然して是等無名の英雄は大部分勞働階級の出身なるを思へば彼等が過去四年間の辛苦艱難の報償として今其地位の向上を迫るは誠に當然の事理と云ふべく政府當局にして若し彼等に臨むに高壓的態度を以てするあらむかいかなる不祥事を釀成