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六、巴里見聞

 巴里は世界の遊覽地として各國民の常に蝟集する所なれば元來コスモポリタン也、况んや昨今の如く講和會議の開かれて世界各國の代表者及其一行の此地に在るのみならず戰地より歸還の途にある英米の諸兵數十萬人入り込み居れるに於て殊に然りとせざるべからず、即ち巴里は佛蘭西の巴里と言はむよりは寧ろ世界の巴里なり、故に巴里によりて佛蘭西を知り佛蘭西人を知らむとするは甚困難の事なり、夫れ巴里が西歐文華の中心にして世界流行の淵源なる事は申す迄もなき所、人が巴里