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に復するや、ウヰルソン氏先づ座を立ち續いて四名の米國全權之に從ひ、同じ卓子に至りて署名の上復席せり。次にはロイドジヨージ氏を先登として英本國委員、次に英植民地委員、次に佛國委員、次に伊太利委員、次に日本委長の順序にて、各一團づゝ代る其卓子迄行きて署名し、かくして最後のウルグワイ委員に至る迄時を費す四十三分なり。而して調印したる國々は山東問題に關する要求の容れられざりしを理由として調印せざるに决したる支那を除き、凡て二十六個國なりき。

 調印の凡て了りしは午後三時四十九分なり。クレマンソー氏乃ち立ちて莊重にしかも單簡に平和は今や成れりと吿ぐ。此の時大庭園の噴水は一齊に迸り出で殷々たる百一發の祝砲