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と呼ふ、

 やま風のふくにまかせて村上や

 はるゝたかねはうき雲もなき

 常盤谷夜雨常盤谷は、西田村の内なり、初め枯木迫といふ、 大玄公の時、この所に別館を置給ひ、名を常盤谷と改らる、別館の遺地、今なほ存せり、比志島氏の別館となる、


 常盤なる松もあらしの聲そへて

  夜半にぞきほふたまの村雨

  新上橋夕照、新上橋は、西田村和泉崎にあり、神月川の流にわたせる橋なり、

 おくふかき山本くれてのこる日の

  かげのみわたす新上の橋

  築地歸帆、築地は坂本村の海邊なり、

 こぐふねも波路は風にまかせつゝ

  おもふかたとて築地にぞよる