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論より出立して推究したる結論が如何に相類似せる所に到達したるかを認むることを得べし。盖しバークレーの所說はロックの觀念論即ち其の經驗生義の思想に結べる所あるが爲めにマルブランシの所說とは一見頗る其の趣を異にせるが如くなれども細思すれば二者の說の如何に相類似したるかを見るは少しも難きことにあらず。マルブランシ曰はく、吾人は萬物を神に於いて見ると、バークレーは曰はく、吾人の見る天地萬物は神によりて與へられたる觀念にして其の模型は即ち神に於ける觀念なりと。
バークレーとマルブランシとが其の思想の根柢に於いて如何に親密なる關係を保ちたるかはアーサー、コリヤーがマルブランシより出立していたくバークレーのに似通へる說を唱へたるを見ても之れを知るべし。〈英國に在りてマルブランシの說を受けて之れを唱へたる人にはノリス(Norris)あり、其の著書はコリヤーも之れを知れり、〉コリヤー(Arthur Collier 一六八〇―一七三二)はバークレーと同じく英國敎會に敎職を帶びたる者にして彼れ自ら言へる所に從へば一千七百三年には已に自家の說に思ひ到れりといふ、且つバークレーが其の『視覺新論』を公にせる前年、彼れが自稿の一論文に其の說の述べられたるを見るに彼れは