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の個人的差別の方面は各人の身體と共に生滅す。人々に受容さるゝ趣に差別はありながら尙ほそれが各人に通じて働く同一理性たるの方面是れ卽ち原動理性なり。人類の遍通性は永恒のものにしてそれが吾人個々の人に宿りて少らく個々人の理性となりまた復歸して同一の知性となるは恰も光線の暫らく相分かれて種々の色をなすが如し。故に吾人は個人としては不死のものに非ず唯だ遍通の理性を享有せることに於いて不朽不滅なるのみ。
西班牙のアラビヤ人中に於いても哲學硏究はモハメット敎有司の手によりて抑壓せられたり。
《猶太學者、モセス、ベン、マイモンの神學說。》〔七〕アラビヤ學者より傅へて哲學思想は寧ろ西班牙に於ける猶太人間に移り行けり。但し猶太學者間に於ける哲學思想は畢竟アラビヤ學者の哲學思想に附隨せるものと見て可なり。彼等の中最初に揭ぐべきをイブン、ガビロル(Ibn Gabirol)卽ち歐洲學者の所謂アヸセブロン(Avicebron 千〇二十年に生まれ千七十年以前に死せり)とす。彼れは新プラトーン學派の影響を受けたる者なりき。猶太學者中の巨擘は