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宗教的プラトーン學徒

《プルタルコスの宗敎的二元論。》〔七〕上に名づけて新ピタゴラス學徒といへるものも別に判然たる一學派を成せるに非ず寧ろ相似通ひたる思想を有せるものの彼處此處に呼應したりしをば後の史家が假りに總稱してしか名づけしなり。されば新ピタゴラス學徒と稱すべきものの堺限は決して明らかなるにあらず彼等に類似せるもの他に尙ほ多し。こゝに宗敎的プラトーン學徒と名づくるものも亦大に之れに類似せるものにして彼此の間に判然たる區劃を立て難し。此等のプラトーン學徒中には上の新ピタゴラス學徒がプラトーン學派に感染したりし如くピタゴラス學派に影響されたる者多し。

宗敎的プラトーン學徒の中最も肝要なるは有名なる史家プルタルコス(紀元後第一世紀の人)なり。彼れはストア學派の唯物論に反對し、またエピクーロス學派の無神論に反對して神の靈なることを主張するに力めたり。彼れはまた神に對して物質てふものを置き而して神が物質を取りて世界を造れりと考へたり。以爲へ