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Page:Onishihakushizenshu03.djvu/329

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人オイデーモスなり。彼れは論理學に於いてテオフラストスと共に多少其の師の說を改良せむと企てたる所あれども,哲學の要旨に於いては師說を離るゝことテオフラストスよりも少なかりき。テオフラストスは究極原因と世界とを相離すこと又心理の論に於いては原動理性と受動理性とを相離すことに疑訝を挿みて自然論を取るに傾けりしが、オイデーモスは之れに反して超越論を取り神を以て世界を超越せる存在者となせり。後者の論は神學に傾き又其の道德論は通俗的となれり。上に擧げたる二人の外、初代のアリストテレース學徒の中、其の名を舉ぐべきは音樂の理論を以て有名なるアリストクセーノスなり。彼れはもとピタゴラス學徒なりしが後移りてペリパテーティク學徒となれり。故に彼れの著書にはピタゴラス學派の說とアリストテレース學派の說と相混和したる所あり。初代のペリパテーティク學徒の中最も肝要なるは右に舉げたる人々なり。其の後此の學派の成り行きに就きては次章に述ぶる所あるべし。