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Page:Onishihakushizenshu03.djvu/313

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此の說に於いては初代の物理學者が反對の性質を說ける思想を採用せり。變動(μεταβολή)と云ふことは彼れに從へば委しくは生滅すと云ふことと動くと云ふこととを包含す。動くと云ふこと(κίνησις)に亦三種あり、增減と移處と性質上の變化(ἀλλοίωσις)となり。

アリストテレースはまた等質のものと不等質のものとを分かち、單純なる物質の相混和することによりて新らしき性質の生じ來たることを說かむとせり。彼れが現今の所謂化學的硏究に向かひて指を染めたるを見るべし。

《生物論。》〔二六〕かくしてアリストテレースは變動に分量及び塲處の變動と性質の變動とあること即ち機械的運動(力學上の者)と性質的變動(化學上の者)とあることを說ける外にまた最も複雜なる變動即ち生物の生長の論を爲せり。(化學上の變動は機械的變動を地盤とし生物の生長は化學上の變動を地盤とす。)彼れに從へば自然界は目的に從ひて活動する一團體なり、而して其の目的ある活動は無機物に於いて已に其の端緖を現はせどもその最もよく發現せるは生物の界なり。生物は其の有する靈魂即ち生氣の種類によりて其の段階を異にす。謂ふところ生物の