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Page:Onishihakushizenshu03.djvu/121

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よりて起こる。

《同種相牽き同類相求む。》〔六〕エムペドクレースは此の四元素の離合を以て天地間の個々物の成壞變化を說明する唯一の金鑰となしぬ。彼れに從へば一物が他物に影響を及ぼすは一物を組成する元素の他物に攙入するが故なり。如何にして一物の元素が他物に攙入し得るか。彼れ曰はく、其の物の微部分が發出して他物の微竅に入るが故なりと。而して一物より發出する微部分と他物の竅の大さ及び形とが相適合すれば彼れと此れと相混じ易く隨うて彼れが此れに影響を及ぼし易し。混入し易きは種類の同じき物體なり、そは發出する部分とその入るべき竅とが最も能く適合すれば也。故に同種相牽き同類相求む。〈エムペドクレースは鐵の磁石に牽かるゝ所以を說明して曰はく磁石より發する微分子先づ鐵の竅に入り鐵の方よりも盛んに其の微分子を發出し斯くして次第に相接近して遂に附着するに至ると。〉

《其の生物、生理の說。》〔七〕エムペドクレースの生物の說に曰はく、最初に地中より生じたるは植物にして次ぎは動物なり。初め地中より手足等の個々の部分を別々に生じ後に此等が相結合して千種萬態の生物を形づくりぬ。かるが故に昔時は四肢五體の結合のいと奇異なる怪物多かりしがそれは漸次に亡びて恰好よき生物の蕃殖する