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Page:NiimiNankichi-NurseryRhymes and Poems-3-DaiNipponTosho-1981.djvu/29

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やがて泥に歸するときを

まつてゐる



お伽噺


春になると樣は御掌をひらいて

鶯をはなつてやるのです


鶯は田舎にとんでいつて

手近󠄁なところからはじめます


まづ松󠄁林のよろこびを

うたつてやる


松󠄁たちは滿々として

默つてる


小さい池のかなしみも

うたつてやる


池は感謝して

默つてる


土堤の草たちのぐちも

うたつてやる


草たちはこれ以上望󠄁まぬと

默つてゐる


一人でゆく雲のさみしさも

うたつてやる


雲はといきをついて

默つてゐる


小川のくだらぬ訴へも