年とつた牛のやうな外套が
似つかはしいのです
何故ならわたしの魂は
年とつた獸のやうに傷き〔ママ〕疲れてゐるのです、〔ママ〕
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わたしは外套を着て
美しき花󠄁のごとき乙女達󠄁と
戀をするのではありません、
銀座の明󠄁るい街頭をば
うきうきした心で步くのでは
ありません
わたしはその古いすりきれた外套に
くるまつて、
人のゐない所󠄁にいき、そつと
木によつかかつて、年とつた牝牛のやうに
靜かにしてゐるのです
疲れをやすめてゐるのです、〔ママ〕
お母さん
お願ひですから去年の外套を
送󠄁つて下さい。
穴があいてたら繕つて、
ちぎれたボタンはつけて、
あの懷かしい外套を、
送󠄁つて下さい。