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ふいと默つてしまつた

山で初茸を見つけた子供のやうに

こいつは茄子の切れつぱしを發見したらしい


はやくも僕を身近󠄁に感じた

聲をひそめてしまつた

僕は樹木や石と同じ樣な

存在であると思はせるため

長い間 ぢつとしてゐる

だが彼は騙されない

草のかげから叡智と恐怖をたゝへた眼で

僕を凝してゐる

その眼を探しても迚も見つからぬ

あまり小さいので。


朝󠄁起󠄁きて庭に下りて見るとまだ

主張してゐる 何か一身上の大問題らしい

だが その根氣のつよいのには顏負けする