方の物知人さへに、是をえさとらずて、かの道てふことある漢國をうらやみて、强てこゝにも道ありと、あらぬことゞもをいひつゝ爭ふは、たとへば猿どもの人を見て、毛なきぞとわらふを、人の恥て、おのれも毛はある物をといひて、こまかなるをしひて求出て見せて、あらそふが如し、毛は無きが貴きをえしらぬ癡人のしわざにあらずや、
然るをやゝ降りて書籍といふ物渡參來て、其を學びよむ事始まりて後其國のてぶりをならひて、やゝ萬のうへにまじへ用ひらるゝ御代になりてぞ、大御國の古の大御てぶりをば、取別て神道とはなづけられたりける、そはかの外國の道々にまがふがゆゑに、神といひ、又かの名を借りて、こゝにも道とはいふなりけり、
神の道としもいふ所由は、下につばらかにとく、
しかありて御代々々を經るまゝに、いやます〳〵に、その漢國のてぶりをしたひまねぶこと、盛になりもてゆきつゝ、つひに天の下所知看す大御政もゝはら漢樣に爲はてゝ、