本居宣長大人
一二 直毘靈
皇大御國は掛まくも可畏き神御祖天照大御神の、御生坐る大御國にして、
萬國に勝れたる所由は、先こゝにいちじるし、國といふ國に、此大御神の大御德かゞふらぬ國なし、
大御神、大御手に天つ璽を捧持して、
御代御代に御しるしと傳はり來つる、三種の神寶は是ぞ、
萬千秋の長秋に、吾御子のしろしめさむ國なりと、ことよさし賜へりしまにまに、
天津日嗣高御座の、天地の共動かぬことは、旣くこゝに定まりつ、
天雲のむかぶすかぎり、谷蟆のさわたるきはみ、皇御孫命の大御食國とさだまりて、天下にはあらぶる神もなく、まつろはぬ人もなく、