ずんば、老僧が頭を切り將ち去れ。此に於て、諸子歡喜作禮して密々に精修す。各〳〵悉く不思議の奇功を見る。功の遲速は、進修の精麤に依るといへども、大半皆全快す。各々内觀の奇功を讃嘆して休まず。師の曰く、儞が輩、心病全快を得て以て足れりとする事勿れ。轉た治せば轉た參ぜよ。轉た悟らば轉た進め。老僧初め參學の時、難治の重病を發して、其の憂苦、諸子に十倍せり。進退惟谷まる。尋常心にひそかに思惟すらく、生きて此の憂愁に沈まんよりは、如かじ早く此の革嚢を捨てんにはと。何の幸ぞや、此の内觀の秘訣をつたへて全快を得る事、今の諸子の如し。至人の云く、此は是れ神仙長生不死の神術なり。中下は世壽三百歳なるべし。其の餘は計り定むべからず。予即ち歡喜に堪へず。精修怠らざる者大凡三年、心身次第に健康に、氣力次第に勇壯なる事を覺ゆ。此に於て、重ねて心に竊かに謂へらく、縱ひ此の眞修を修し得て、彭祖が八百の歳時を保ち得るも、唯是れ一箇頑空無智の守屍鬼ならくのみ。老狸の舊窠に睡るが如し。終に壞滅に歸せん。何が故ぞ、今既に獨りも葛洪鐡枴張華費張が輩を見ず。如かじ、四弘の大誓を憤起し、菩薩の威儀を學び、常に大法施を行じ、虚空に先ちて死せず、虚空に後れて生ぜざる底の不退堅固の眞法身を打殺し、金剛不壞の大仙身を成就せんにはと。此に於て、眞正參玄の上士兩三輩を得て、内觀と參禪と共に合せ並べ貯へて、且つ耕し且つ戰ふ者、蓋し茲に三十年。年々一員を添へ二肩を増し得て、今既に二百衆に近し。其の中間、方來の衲子、勞屈疲倦の族、或は心火逆上し將に發狂せんとする底を憐み、密かに此の内觀の至要を傳授し、立所に快癒せしめ、轉た悟れば轉た進ましむ。馬年今歳古稀に越えたりと云へども、半點の病患なく、齒牙全く搖落せず、眼耳次第に分明にして、動もすれば靉靆を忘る。毎月兩度の法施終に怠倦せず、請に佗方に應じて、三百五百の海象を聚會して、或は五旬七旬を、經に録に、雲水の所望に隨つて胡説亂道する者、大凡五六十會に及ぶといへども、終に一日も罷講齋を鎖さず。身心健康、氣力は次第に二三十歳の時には遙かに勝されり。是れ皆彼の内觀の奇功に依る事を覺ゆ。住菴の諸子、各々悲泣作禮して云く、吾が師大慈大悲、願くは内觀の大略を書せよ。書して留めて、後來禪病疲倦吾が輩の如き者を救へ。師即ち頷す。立處に草稿成る。稿中何の説く所ぞ。曰く、大凡生を養ひ長壽を保つの要は、形を錬るに如かず。形を錬るの要、神氣をして丹田氣海の間に凝らしむるにあり。神凝る則は氣聚る。氣聚る
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