せんとす。予が馬齒一日も諸子に長たるを以て、其の端由を書せん事を責む。予も亦辭せずして書す。云く、師鵠林に住する事大凡四十年、鉢嚢を掛けしより以來、雲水參玄の布衲子、纔かに門閫に跨れば、師の毒涎を甘ない、通棒を滋しとして、辭し去る事を怠るゝ者、或は十年、或は二十年、鵠林々下の塵となる事も、亦總に顧みざる底あり。盡く是れ叢林の頭角、四方の精英なり。各々西東五六里が間に分れて、舊舎廢宅、老院破廟、借りて以て菴居の處として淸苦す。朝艱暮辛、晝餒夜凍、口に投ずる者は菜葉麥麩、耳に觸るゝ者は熱喝垢罵、骨に徹する者は嗔拳痛棒、見る者顙を攅め、聞く者肌に汗す。鬼神もまた涙を浮べつべく、魔外もまた掌を合せつべし。其の初め來る時は、宋玉、何晏が美貌有りて、肌膚光澤凝れる膏の如くなる者も、久しからずして、恰も杜甫賈島が形容枯槁、顔色憔悴するが如く、或は屈子に澤畔に逢ふが如し。參玄軀命を顧みざる底の勇猛の上士にあらざるよりんば、何の樂み有りてか、片時も湊泊する事を得んや。是の故に、往々に參窮度に過ぎ、淸苦節を失する族は、肺金いたみかじけ、水分枯渇して、疝癖塊痛難治の重症を發せんとす。是れを憐み是れを愁ひて、師不豫の色有る者連日、乍ち忍俊不禁にして、雲頭を按下し、老婆の臭乳を絞ッて、是れに授くるに内觀の秘訣を以てす。乃ひ云く、若し是れ參禪辨道の上士、心火逆上し、身心勞疲し、五内調和せざる事あらんに、鍼灸藥の三つを以て是れを治せんと欲せば、縱ひ華陀扁倉と云へども、輙く救ひ得る事能はじ。我に仙人還丹の秘訣あり、儞が輩試に是れを修せよ、奇功を見る事、雲霧を披きて皎日を見るが如けん。若し此の秘要を修せんと欲せば、且らく工夫を抛下し、話頭を拈放して、先づ須らく熟睡一覺すべし。其の未だ睡りにつかず、眼を合せざる以前に向つて、長く兩脚を展べ、強く踏みそろへ、一身の元氣をして、臍輪氣海丹田腰脚足心の間に充たしめ、時々に此の觀を成すべし。我が此の氣海丹田腰脚足心、總に是れ我が本來の面目、面目何の鼻孔かある。我が此の氣海丹田、總に是れ我が本分の家郷、家郷何の消息かある。我が此の氣海丹田、總に是れ我が唯心の淨土、々々何の莊嚴かある。我が此の氣海丹田、總に是れ我が己心の彌陀、々々何の法をか説くと、打返し打返し常に斯の如く妄想すべし。妄想の功果積らば、一身の元氣いつしか腰脚足心の間に充足して、臍下瓠然たる事、未だ篠打せざる鞠の如けん。恁麼に單々に妄想し將ち去つて、五日七日乃至二三七日を經たらむに、從前の五積六聚氣虚勞役等の諸症、底を拂つて平癒せ
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