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Page:NDL889322 わすれ貝 part3.pdf/5

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  • 待てと一人、わが言を遮りて曰く、驕奢者狹斜也、義者妓也、音相通ずるにあらずやと。げにもクンシは漢音也、キミコは和訓也。
  • さらば儞等、醉へや眠れや夢よや。覺めざれば呼ばず、さめて初めて天を呼ぶは、人各〻に定まれる義務にてもあるべし。
  • 衆皆醉ひ、吾獨醒むといふは、九尺二間の事なり。裏長家の事なり。運命を總後架と、掃溜とに隣りて有する不理窟なり。今と雖も、遂に水に赴かざるを得ず。

(明治三十二年六月)

巖下電

  • 黒かる可からず、白かる可からず、人の生ける要訣は、鼠色なるに在り。之を天にかたどりては、半晴れ、半陰れる雲の如くなるべし。之を地になぞらへては、半乾き、半濕れる泥の如くなるべし。交錯せる、掩映せる、猶黒白の辨たるべし、全く混化せよ、融合せよ。所謂たんまりしたる儲口は、多く鼠色の產む所たり。
  • 墨子練絲に泣けるは、以て黃にすべく、以て黒にすべきが爲なり。今人會すれば輒ち日ふ、潔白なりと。潔白のあかりを立