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Page:NDL889322 わすれ貝 part2.pdf/100

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  • なり。
  • 正義を唱ふるの士は、正義を行ふの士なりと思へ。公德の乏を慨する者にして、一己私德の上にだに缺乏せる者あるを思ふことなかれ。要は唯信ずるに在り。信ずるはめでたきものなり。天下太平の策、こゝに於てか定まる。
  • 豆藏氏が言に白く、見ると聞くとは大きな相違と。然り見ると聞くと、大いに相違することなくば、今日にありてはゆゝレき大事也、國家の大事也。
  • 一切の虛僞を排するは、一切の眞質を排するなり。虛僞と眞實との關係は、鰹に對する酢味噌の如し。まことそらごと取交ぜるにあらざれば、遂にお話はなり難し。
  • 噓は薬か、誠は毒か、相待つて世は悠久に健かなるを得るなり。何事も造化の配劑に歸したる古人が言も、蓋この意に出でざるべし。
  • 噓を誠る物の名のみ。時と處とによりて、おのづから運用の別あるのみ。 浪速の蘆は伊勢の濱荻たるの類のみ。
  • 欺くは智也、欺かるゝは德也。されども人は、欺くほどの智ある者に非ず、欺かるゝだけの德ある者なり。
  • 秘する者は秘し、秘せざる者は秘せず、ことわると否とに關せざるべし。秘密を迫るは、公開を迫るなり。陰蔽は流布な