Page:Kokuyakudaizokyo01.pdf/71

提供:Wikisource
このページは校正済みです

こくやくめうほふれんきやう

  まきだいいち

   じよほんだいいち

 かくごときを、われきき。ひとときほとけ(一)わうしやじやう(二)しやくつせんなかいましたまひ、(三)だいしゆまんせんにんともなりき。みなこれ(四)漢󠄇かんなり。(五)しよすでつくしてまた(六)ぼんなうし。逮󠄂たいとくし、もろもろけつつくして、こころざいたり。(七)にやけうちんによ(八)摩󠄃せふ(九)びんせふだいせふ(一〇)しやほつ(一一)だいもくけん連󠄁れん(一二)摩󠄃せんえん


【一】(Rājagrihaラージヤグリハ)は中印度摩󠄃竭陀國の都󠄁城なり。紀元前六世紀に頻婆娑羅王(Bimbisāraビムビサーラ)の築く所󠄁なりと傳ふ。

【二】(Gṛdharakūṭaグリフダラクータ)は靈鷲山と譯す。王舍城の東北にある山、釋尊󠄁說法の地として有名なり。

【三】。比丘(Bhikṣuビクシユ)は乞士、除饉、勤事男と譯す。男子の出家、卽ち僧をいふ。大比丘衆は戒德具足の僧衆なり。

【四】漢󠄇(Arhanアルハン)は應供、殺賊、無生、離惡等と譯す。小乘の敎によりて悟れる聖者の敬稱。

【五】。漏は漏泄と熟す、煩惱の異名。諸漏は三毒五慾等の煩惱なり。

【六】は惑また漏とも云ふ。吾人の心身を煩擾惱亂する精󠄀