のは地獄に墮ちて憂ひ悲む。
316
恥づべからざるに恥ぢ、恥づべきに恥ぢず、邪見に著せる衆生は惡趣に趣く。
317
恐なき所に恐を見、恐るべき所に恐を見ず、邪見に著せる衆生は惡趣に入る。
318
過なきに過の念を爲し、過あるに過を見ず、邪見に著せる衆生は惡趣に到る。
319
過を過と見、過なきを過なしと見、正見を抱ける衆生は善趣に生る。
(1) 諸經要集六六三偈。 (2) 國民の信仰によりて施す供養物。 (3) 茅に似たる草の一種。
象品第二十三
320
われは戰場に赴ける象の、弓を離れたる箭を〔忍ぶ〕が如く、罵詈を忍ぶ、是れ羣生は、破戒の徒なればなり。
321
〔人は〕調けたるを戰場に引き行き、王は馴れたるに騎る、人の中にて、自制心あり、罵詈を忍ぶは最第一なり。
322
騾の馴れたるは善く、氣高き(1)辛頭馬は善し、大龍象王は善く、己を制せるものは更に善し。
323
此等の乘物に〔騎り〕ては、〔人は〕(2)不至の地に到ることなし、己を制せるものは、自制によりて、〔其の處に〕達すること、猶ほ馴れたるに〔騎りて行くが如し〕。
324
護穀と名くる象の、烈しく狂ひて、禁制し難きも、縛せられては食を食ふことなし、象は象〔の