〔過を〕覆ふことは、詐ある賭者の骰子を隱すが如くす。
253
他の過を索め、常に憤恚の心を抱くものは、其の(3)漏益益增し、漏盡には遠して遠し。
254
空中には路なく、沙門は〔佛法の〕他には之あらず、羣生は虛榮を樂み、如來には虛榮なし。
255
空中には路なく、沙門は〔佛法の〕他には之あらず、諸行は常住なるなく、諸佛には動著あるなし。
(1) 或は邪惡の法は垢なり。 (2) 九偈の註を見よ。 (3) 漏盡とは煩惱を盡すことにて、阿羅漢果に達するを云ふ、斯の如き人は煩惱を盡して阿羅漢果を得ること能はず。
法住品第十九
256
人の暴を以て事を決する、彼之によりて法住の人たるにあらず、正も邪も共に能く決するものは賢者なり。
257
暴ならず、法により、平等に他を導き、法に護らるる智者、〔彼ぞ〕法住の人と稱へらる。
258
〔人の〕多くを語る、〔彼〕之によりて賢者たるにあらず、堪忍あり、怒なく、恐なき〔もの、彼ぞ〕賢者と稱へらる。
259
〔人の〕多くを語るも未だ持法者たるにあらず、法を聞くこと尠しと雖も、身にて之を(1)見、法を等閑にすることなくば、彼こそ法の護持者なれ。