(1) 地獄を云ふ。 (2) 原意は刀杖を措く。 (3) 第八〇偈に同じ。
老衰品第十一
146
〔世は〕常に〔慾火に〕燒かるるに、何の笑ぞ、何の歡喜ぞ、〔汝等は〕黑闇に覆はるるに、何故に〔智〕火を求めざる。
147
飾れる〔此の〕形體を見よ、合會して成れる腐壞物の塊、衆病を擁し、種種に測量し、堅實なく、安住なきなり。
148
此の形色や老朽し、衆病の樓所たり、壞るべきものなり、臭穢の身は損すべく、命は死に終る。
149
秋の日に棄てられたる葫蘆の如き、此等灰白の骨行を見て、何の喜樂ぞ。
150
骨行の都市を建て、肉と血とに塗れり、此處に老と、死と、慢と、覆とを藏す。
151
能く飾りたる王車も古び、身體も亦た老に至る、賢人の法は老ゆることなし、賢人は、賢人に法を傅ふるなり。
152
此の寡聞の人は犢牛の如く老ゆ、彼の肉身は增せども、彼の智慧は加はるることなし。
153 154
(1)屋舍の工人を求めて、之を看出さず、多生輪廻界を奔馳して、轉た苦の生死を經たり。
屋工、汝今看出さる、再び家を構ふることあらじ、汝の桷材は總て破られ、棟梁は毀たる、滅に至れる心は諸愛の滅盡に達せり。