72
愚者の智慧の起ること、其の不利の爲なる閒は、これ此の愚者の好運を損し、其の頭を碎く。
73
〔愚者〕は僞の名聞を願ひ、諸比丘の中にて上位に居らんと〔望み〕、家にありては主となり、他族の閒には供養を〔得んと望む〕。
74
「在家出家共に、我之を爲せりと思へかし、總て爲すべき事、爲すべからざる事に於いて、皆我が命を受けよかし」、これ愚者の心にして欲と慢とは〔ために〕增長す。
75
一は利養に導くものにして、一は涅槃に引き行くものなり、佛弟子たる比丘は、此の意を證りて恭敬を喜ばず、遠離のために修習せよ。
(1) 由旬とは里程の名、四哩より十八哩に至り、諸說一定せず。 (2) 一筒月每に、茅草の端にかゝるほど少量の食を取るとも、其の功德は善く法を行ふ人の功德の十六分の一にも當らず。
賢哲品第六
76
〔身の〕過を指し、失を責むる智者、斯る賢者を見ば、〔寶の〕在所を吿ぐる人の如くに事へよ、斯る人に事ふるものには是ありて、非あることなし。
77
誡めよ、敎へよ、不相應の事より遠ざからしめよ、彼善人には愛せられ、惡人には憎まれん。
78
惡友と交るなかれ、卑劣の輩と交るなかれ、善友と交り、尊貴の士と交れ。
79
法を喜ぶものは澄みたる心を以て快く臥す、賢者は常に聖者の說ける法を樂む。