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三位殿などして責められむ事をとなむ思てひ、いふべき事ならざりしかば、心の中ばかりにこそ海︀士の刈る藻に思ひ亂れしかど、げにこれも我が心には任せずともいひつべきことなれど、又󠄂世を思ひ捨てつと聞かせ給はゞさまで大せちにも思しめさじと思ひ亂れて、今すこし月頃よりも物思ひ添ひぬる心ちして、いかなるついでを取り出でむ、さすがに我とそぎ捨てむも昔物語にもかやうに𛃰たる人をば人も疎ましの心やなどこそいふめれ。我が心にもげにと覺ゆる事なれば、さすがにまめやかにも思ひ立たず。かやうにて心づから弱󠄁り行けかし、さらば事つけてもと思ひ續けられて、日頃經る「御乳󠄁母だち又󠄂六位にて五位にならぬ限は物參らぬ事なり。この二十三日、六日、八日ぞよき日。とくとく」とある文󠄁たびたび見ゆれど、思ひ立つべき心ちもせず。過󠄁ぎにし年月だに私の物思ひの後は人などに立ちまじるべきありさまにもなく見苦しくやせ衰へにしかば、いかにせましとのみ思ひあつかはれしかど、御心のなつかしさに人だちなどの御心も、三位のさて物し給へばその御心に違󠄂はじとかや、はかなき事につけても、用意せられてのみ過󠄁ぎしに、今さらに立ち出でゝ見し世のやうにあらむ事もかたし、君鳥羽はいけなくおはします、さて習󠄁ひにしものぞと思しめす事もあらじ、さらむまゝには昔のみ戀しくて恨みむ人はよしとやはあらむなど思ひ續くるに、袖のひまなくぬるれば、
「かわくまもなき墨︀染のたもとかなあはむかしのかたみと思ふに」。
かやうにてのみ明け暮るゝに、かく里にのどかなる事かたし。五六日なれば內侍のもとより