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かで我が君のおはします所󠄁にげすをばよせむ」とていみじう泣かる。參りざまに抱󠄁かれたりつれば、せめて物のおぼえてかとぞ覺ゆる。されば我が方の女房󠄁ども呼びよせて、ひだうに引きのするやうに人の背中におぼせてやりつ。御乳󠄁母だち立たれぬれば、因幡內侍とて明暮あまたの內侍の中にとりわき仕うまつりつきたりし人と二人御かたはらにむごに近󠄁くさぶらふ。「あはれ多く侍らひつれど契︀深くも仕うまつりはてさせ給へる」などいひつゞけて、いみじう泣かるゝさまぞ、いとゞ催さるゝ心ちして堪へがたき。局より、いそぎたるけしきにて、きとおはしませ、三位殿、絕え入らせたまひぬといひて、引きさげて率ていぬ。誠になきひとのやうにて大かた息もせず。暮れかゝるほどに集まりてかきのせて率ていぬ。御まへのかたかいすみて、いつの間にかはるにか、日頃夥しくものも聞えずのゝしりつるけしきども𛃰めじめと火をうち消󠄁ちたるとはこれをいふべきにやと覺えて音󠄁もせず。大貳三位の局、壁を一重隔てたる、泣くけはひどもして晝の聲どものやうに泣きあひたる中に、三位の御聲にて「哀れかやうに日の暮るゝに御格子とくまゐれかしと心もとなく覺えしにいふべき事もなく𛃰なし參らせつるはいかに𛃰つる事ぞや。これ助けよや。唯おはしますらむ所󠄁へ我を召せや。をいをい」とくどき立てゝ。泣かるゝ音󠄁す。聞くぞいとゞ堪へがたき。日のおましの方にこほこほと物とりはなす音󠄁して人々の聲あまたすなり。何事にかと聞くほどに、お前より同じ局に我が方ざまにて侍ひつる人うちきていみじう物もいはず泣く。見るにいとゞどの事と聞かぬに泣き臥さるゝ心ちぞする。𛃰ばしためらひていふやう「あな心憂や。たゞ今神︀