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出でさせ給ひぬと見まゐらするまゝに、大臣殿の三位まろびおりてやがてそこに同じさまにて、息も絕えたるさまして臥し給ひたる、大臣殿見給ひて、子の中納󠄁言顕通召して「あれゐてのけよ」とあれば、その方の女房󠄁、中納󠄁言として、いとたのもしくめでたげにてかき抱󠄁きていぬ。さるほどに、大貳三位も御子播磨󠄁守、出雲守などいふ人々かきすくひて率ていぬ。藤三位殿は例ならぬ弱󠄁げに見えつる人のなげ入れられつるよりとくて聲だにもせずいひつゞけてなきたまふさま、ことわりと見ゆれど、すき入られぬるにやと見ゆれば、子の加賀守を見おこせて「それ抱󠄁きのけ奉らせ給へ」といと弱󠄁げに見えさせ給ふさまをば、「物のおぼえ侍らぬぞ。たすけ給へ」とあれどいふかひなし。「𛃰もにおりさせ給へ」とひきのくれど「何事の給ふぞ。うるはしくておはしましつる御顏を今一度見せさせ給はずなりぬるがうらめしさは、いふ方なし」とあぢきなく人の罪のやうに恨み泣き給ふもことわりにぞ聞ゆる。御かひなを探ればいまだひえながら例の人のやうにたをやかにさぐらるれば、試みがてら𛃰ばしもさらばたがえ參らせて、物の給へかしと思へば、いたくも勸めて諸ともに御かひなを執へて居たれば、いつの程󠄁にかはるにか唯すくみにすくみはてさせ給ひぬ。今はかひなしと思ひて、「いざさせ給へ。さぶらはせ給ふとも今はかひなし。一言もこそもしやと思ひつる程󠄁こそありつれ」と引きのくれど、大かた取りつきまゐらせて「いかで一所󠄁置きまゐらせて行かむずるぞ」との給ふ。加賀守のさばかりあるはいだきのくべき心ちもせねば、加賀守に「我はえ抱󠄁き給ふまじくば局の人を呼び給へ」といへば、さばかりの物も覺えずげなる人のとりあへず、「い