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大鏡


大鏡卷之一

   五十五文德天皇

   五十六淸和天皇

   五十七陽成院

   五十八光孝天皇

   五十九宇多院

   六十醍醐天皇

   六十一朱雀院

   六十二村上天皇

   六十三冷泉院

   六十四圓融院

   六十五花山院

   六十六一條院

   六十七三條院

   六十八後一條院

さいつころ雲林院の菩提講にまうでゝ侍りしかば、例の人よりはこよなく年老いうたてげなる翁二人おんなときあひて同じところにゐぬめり。哀に同じやうなるものゝさまかなと見侍りしに、これらうち笑ひ見かはしていふやう「「年ごろむかしの人に對面していかで世の中の見聞く事どもをきこえあはせむ、この唯今の入道殿下の御有樣をも申しあはせばやとおもひしに、あはれに嬉しくも逢ひ申したるかな。今ぞ心やすくよみぢもまかるべき。おぼしき事いはぬはげにぞ腹ふくるゝ心ちしける。かゝればこそ昔の人は物いはまほしくなれ