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の心にしみならひて行のひまにも捨てがたければ、われ一人見むとて書きつけ侍りぬ。大鏡の卷も凡夫のしわざなれば佛の大圓鏡智の鏡にはよも及び侍らじ。此も若し大かゞみに思ひよそへばそのかたち正しく見えずとも、などか水かゞみのほどは侍らざらむとてなむ。