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Page:Kokubun taikan 01.pdf/435

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いふにやあらむとおぼゆると聞え給ふ。見奉りならぶるにかの后の宮をばしりきこえず、姬君は淸らにおはしませどまだかたなりにておひさきぞ推しはかられ給ふ。うへの御かたちはなほ誰かならび給はむとなむ見給ふ。殿もすぐれたりとおぼしためるをことに出でゝは何かは數へのうちには聞え給はむ。われにならび給へるこそ君はおほけなけれとなむ戯れ聞え給ふ。見奉るに命のぶる御ありさまどもを又さるたぐひおはしましなむやとなむ思ひ侍るを「いづくか劣り給はむ。物は限あるものなればすぐれ給へりとていたゞきを離れたる光やはおはする。唯これをすぐれたりとは聞ゆべきなめりかし」とうち笑みて見奉ればおいびともうれしと思ふ。「かゝる御さまをほどほどあやしき所にしづめ奉りぬべかりしに、あたらしく悲しうていへかまどをも捨てをとこ女の賴むべき子どもにもひき別れてなむ、かへりて知らぬ世の心ちする京にまうでこし。あがおもと、はやよきさまに導き聞え給へ。高き宮仕し給ふ人はおのづからゆきまじりたるたよりものし給ふらむ。父おとゞ聞しめされかずまへられ給ふべきたばかりおぼし搆へよ」といふ。恥しうおぼいて後むき給へり。「いでや身こそ數ならねど殿もおまへ近く召しつかはせ給へば物のをりごとに、いかにならせ給ひにけむと聞え出づるを聞しめし置きて、我いかで尋ね聞えむと思ふを聞き出で奉りたらばとなむの給はする」といへばおとゞの君はめでたくおはしますとも、さるやんごとなき御めどもおはしますなり。まづまことの親とおはするおとゞにを知らせ奉り給へ」などいふに、ありしさまなど語り出でゝ、「世に忘れ難く悲しきことになむおぼして、かの御かはりに