Page:Kojiki-gairon1936.djvu/17

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を善と觀たまへり。神光と暗を分ちたまへり。神光を晝と名け暗を夜と名けたまへり。夕あり朝ありき。是れ首めの日なり。神言たまひけるは水の中に穹蒼ありて水と水とを分つべし。神穹蒼を作て穹蒼の下と穹蒼の上の水とを判ちたまへり。卽ち斯くなりぬ。神穹蒼を天と名けたまへり。夕あり朝ありき。是れ二日なり。神言たまひけるは天の乙の水はー處に集まり乾ける土顯はるべしと。卽ち斯くなりぬ。神乾ける土を地と名け水の集まれるを海と名けたまへり。神之れを善と觀たまへり。神言ひたまひけるは地は靑草と實蔵とを生ずる革蔬と其の類に從ひ果を結びみづから核をもつ所の果を結ぶ樹を地に發出すべしと。卽ち斯くなりぬ。云云

 此れから晝夜が別れ、日月星が生じ、魚鳥育し、家畜發し、人も亦見はれる。何れも神の所爲である。日本の創造は之れと異なり、大體が自然である。共の點は異なるけれども又似た所がある。

註に曰く。服部中庸は宣長の說に從ひ、一切萬物の生々を以てニ神の產靈(むすび)に歸した。曰く。此の一物(日本書紀に天地初判。一物在於虛中。狀貌