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鹿兒島縣立圖書館新築落成記念誌
- 一 本縣圖書館事業の沿革概要
- 一 舊藩時代
本縣に於ける圖書館事業の淵源を繹ぬるに、舊藩第二十八代英主島津齋彬公最も文教の振興に意を用ひ、安政元年正月學問の大本を訓示して一藩に嚮ふ所授け、又城内に文武講習場、村落に學舎を設け、或は遊學の門戸を開き、洋學を奨勵すると共に、和漢洋の御手許御藏書を春蕞文庫と名付づけられ、嘉永五年四月史職に令し所貯の和漢群書を藩士に貸與せしめ、又經書史傳等を翻刻せしめて封内士民に低價を以て下付し、又書籍賣支配人又木元右衛門、青木静左衛門の兩名に命じて一般に圖書を貸與せしむる等、大に文事の普及と發展とに盡され、所謂薩藩學風に新時期を劃せるを以て濫觴となす。