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第三章 遺蹟遺物上よりの考察

 こゝに石器土器及び貝塚・古墳等、古代の遺蹟遺物を中心として當時の住民の有様を一暼して置きたい。

 石器時代が金屬器使用以前である事は云ふ迄もないが、文化の相違により、優良種族が既に金屬器を使用する時代に於いても、劣等種族は猶ほ石器時代の状態であり得た譯で、石器使用人は、必ずしも凡て金屬器使用人以前の者ではなく、又全國一律に石器時代を同一年代とする事は出來ない。又繩文式土器と彌生式土器との關係の如きも、若し之を使用した種族が確然と違つて居たと考へるならば、それのみによつて各の種族の屬する時代の先後を定める事も全く困難なことであらう。 更に同一地點の上層出土と下層出土との相違によつて時代の先後が決定される場合でも、それは地方的の問題であつて、直ちに他の一般を論ずることは出來ない。 本縣内に於ける遺蹟分布の状態を見るに、高塚式古墳は、後述の如く大隅半島の有明海に臨む大隅平原に多く存在し、その他の地方には殆んど之を見るを得ないのであり、一方この平原に