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五十秒に至り、極北出水郡東長島村タグイ崎、北緯三十二度十八分四十秒より、極南大島郡與論村與論崎の南端、北緯二十七度〇分五十二秒に至る。南北百四十九里、東西七十七里にして、總面積九千百〇三平方粁八一(五九〇・二五方里)に及んでゐる。

 豊豫海峡の西岸より南西に走る九州第一の山系たる九州山脈も、人吉盆地の南縁以南は餘り顯著でなく、本縣の大部分は白堊紀層から成る丘陵性の地體に據つて占められてゐるが、霧島火山脈は本縣の南北を縦貫し、更に西南諸島の西側を走ってゐる。 この影響を受けて火山岩に覆はれた山塊が尠くない。また全縣下に百米内外の特有臺地をなすものは火山砂礫層にして、笠之原・十三塚原・城山等の如きその例であり、縣下の畑地として利用せられてゐるものは多くこれである。 この臺地が河川に開析せられたる低地が即ち沖積層の平地で、海岸に於て砂丘として發達し、吹上の濵や有明灣岸のものは、その代表的のものである。

 先づ肥薩の國境には矢筈嶽(六八七米)を始めとして、國見嶽・宮ノ尾山・間根ヶ平等があり、更に南して黒園山に至る、これを矢筈嶽山脈とも、國見山脈とも稱へ、牛尾金山・高熊山も之に屬してゐる。その南には紫尾山を中心とする山塊があり、南九州山脈の餘脈で、紫尾山脈とも出水山脈とも稱へ、一度海に没してさらに甑島を起してゐる。 この内、紫尾山は薩摩第一の大山嶽で、其の主峰を上宮嶽(一〇六七米)と云ふ、中古以來霊山として崇敬されてゐる。 次に其の東には烏帽子嶽を主峰とする山脈(火山脈)がある、薩隅兩國の境界をなす山々で、北には安良嶽・花屋ヶ岡・中ノ嶽等があり、烏帽子嶽の東南には長尾嶽がある。 更に南すると國境線に沿うて子貫嶽・眞黒山・瀬戸平山・雄嶽・天ヶ鼻・中嶽・ 牟禮ノ岡等となつて鹿兒島灣で絶えてゐる。 瀬戸平山より西するものは、八重山・重平山・矢岳・冠嶽・辨財天山等となつて西海で盡き、南するは花尾山・三重嶽となつて居る(矢岳山脈)。カフリ嶽(五一六米)は東岳・中岳・西岳の三峰より成り、三岳共に熊野神社を祭つて、秦の徐福が來て、玉冠を留めた山との傳説を残してゐる。 また、花尾山も霊山で、山頂に熊野神社、南麓には花尾神社がある。 冠嶽山脈は火山系で、概して金鑛に富んで居り、串木野金山が其の最たるものである。薩摩半島は多く丘陵、若しくは臺地状を成し、火山岩が多い。田布施に金峰山があつて、其の邊からは東西二脈となり、萬瀬川以南には藏多山・下山岳・國見ヶ岳・磯間山・