うでは様子を見ていたと見えて、ニコニコしながら、
『後を私がやらして貰いますから、見ていて下さい。一人じゃ心細いから。』
と、いって、友吉が突然の事で止めようとする言葉を出し遅らしている暇に、彼は友吉の席を占め、稲妻ジムに、
『
『何を。』と、ジムは
小柄な男は手真似と身振りを交ぜて、
『私、スペード十引く。すると、君、五十二枚共ジャックのカードとスリ変える。私に混ぜ合わさせる。いくら混ぜ合してもみなジャック、どこ取っても君勝つ。』
『ワハハ……。』哄笑した。『こいつア、妙案だ。だが、そうすると、何だぜ、お前さん。お前さんは
『君がいつでも高い札カットする。それが不思議ある。』
『俺の指にはな。』ジムはニマリと笑って、、神様が宿ってるのだ。いつでも思う札が切り出せるんだよ。』
『それ嘘ある。君のカード仕掛けある。』
『冗談いうなというのに。お前さんは俺に喧嘩売る気か。俺のカードに仕掛けがあるというなら、誰のカードででも勝負してやらア。』
『それが宜しい。新しいカードでやる宜しい。』
『おい、「
「頤髭」と呼ばれたフランス人はすぐ帳場の方へ飛んで行って、やがて新しいカードを持って来た。
ジムはチラリとカードを見ただけで、手に取ろうとせず、相手に、
『これなら文句はねえだろう。俺は触らねえから、お前、「
小柄な男は新しいカードの封を切ると、前回と違って巧みな手つきで「
彼は十分に「
ジムは速る心を押〔ママ〕えて、
『さア、どのカードを切り出すのかい。』
『ハートのエースだ。』
『よし。』ジムはうなずいて、『それで賭はいくらだ。断って置くが、今度は、百弗やそこら