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して、これをアメリカ驅逐艦を以てカサブランカからアメリカへ輸送する爲である。

 一九四〇年九月には、ルーズヴエルトは更に戰爭に接近して來た。まづ彼は、米艦隊に屬する五十隻の驅逐艦を英艦隊に讓渡した。何れ後世に於て明らかとなるであらうが、その代償として彼は北米及び中米にある英領土の軍事基地を受けとることになつてゐる。即ちこの點については獨逸に對する憎惡を有してゐても、亦尙崩壞の時期にある英國を出來るだけ確實に、そして危險なく繼承出來ると云ふ見解が働いてゐるのである。

 英國はアメリカからの補給品を最早や現金で支拂う能力がない爲に、彼は米國民に對し武器貸與法を壓しつけた。かくて大統領は武器貸與法によつて援助する諸國の支配權を持たうとした。それはこれら諸國の防衞がアメリカに對して生存上重要であるとルーズヴエルトに思はれたからである。その後獨逸が彼の繼續してゐた計畫を何ら刺激しなかつたのにこの人物は一九四一年三月再び第一步を進めたのである。

 一九三九年十二月十九日には旣にアメリカの巡洋艦はドイツ汽船コロンブスを安