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年であつた。茲に於てか今日の展開の原因と見倣さるべき要因を檢討するのが重要である。

 それには先づ個人問題に觸れざるを得ない。余はルーズヴエルト大統領の抱く人生觀なり、人生に對する態度と、余のそれとの間には大きな間隔があるのを餘りによく知つてゐる。

 即ちルーズヴエルトは富有の家庭の令息として生れ、然も生まれながらにして家柄と血統とが民主主義國にあつて坦々たる經歷と出世とが保障された人種の階級に屬してゐる。

 其れにひきかへ余自身は貧しい取るにも足らぬ家に孤々の聲をあげたのであつた、余は目に餘る辛酸をなめ努力と勤勉によつて前途を鬪ひ拔かなければならなかつた。

 世界大戰が勃發するやルーズヴエルトはウイルソンの庇護を受けつつ、蔭にかくれて、然も戰時成金の雰圍氣を味ひながら戰爭を體驗したのであつた。彼は從つて一方が苦戰を喫しつつある時、他方が巨利を博し、一方がこの他方に降伏するといふ民族