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 議員諸君! 國民諸君! 

 これは全くありのまゝの事實であるが、恐らく諸君にとつては無味乾操な數字であらう。然し乍ら諸君は我々ドイツ國民の歷史、更に意識並に記憶からこれを搔き消さない樣にと余は祈るものである。何故かと云ふにこの數字の蔭には業績と犧牲と苦困が隱されてゐる。ドイツ國民及びその盟邦の數百萬の最良の男子が抱く決死的な魂、滅私奉公の精神が宿つてゐるのである。

 これは凡て生命と生活を全部投げ盡し故國では殆ど想像の及ばぬ努力を拂つて獲得されたものである。遠く無限の境に進軍し、酷暑と渴に苦惱し、果てしなき泥濘の道に阻止されて殆んど絕望の淵に陷り、七、八月の酷熱、十一、十二月の冬の暴風と鬪ひつつ白海から黑海に至る不慣れな惡氣侯に曝され、虫に惱み、汚物や害虫に苦勞し、雪や氷に凍えてドイツ人、フインランド人、イタリー人、スロヴアキア人、ハンガリー人、ルーマニア人、クロアチア人、北部及び西部ヨーロツパ諸島よりの義勇兵は戰つたのである。ここに余は特に東部戰線の兵士を擧げたい。然し冬季に入るに及