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同樣にドイツ國及び國民の利害を超越するものであるからである。換言すれば嘗てギリシヤ人がペルシヤ人に對抗しギリシヤ自國を防がずして寧しろヨーロツパを防禦しローマ人がカルタゴ人に對しローマにあらずしてヨーロツパを、又ローマ人及びゲルマン人が匈奴に對し西洋にあらずしてヨーロツパを、ドイツの皇帝が蒙古人に對してドイツにあらずしてヨーロツパを、スペインの英雄がアフリカに對しスペインにあらずしてヨーロツパを、防護した如く、ドイツも亦目下自國の爲にあらずして全ヨーロツパの運命の爲に戰つてゐるのである

 この認識が主なるヨーロツパ國民の根本意識に現今深く根を下ろしてゐる事は喜ぶべき徵候であつて、この現れが個人の赤裸々な意見の發露なると義勇兵の戰爭參加たるを問はないのである。

 ドイツ並にイタリーの軍隊が本年四月六日ユーゴースラヴイア及びギリシヤの攻擊を敢行した時が旣に、目下我々が遂行中の大戰爭の序幕であつた。何故かといふにイギリスの首謀者共はこの戰爭勃發に關與してはゐたが然し實はロシアがその主役