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Page:Issennen no rekishi wo tsukuran.pdf/10

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難では無かつたのである。何故かといふとイギリスがドイツより脅威されてゐると稱し援助條約を口實にして侵略した凡ゆる國々に對してはドイツは事實常に經濟的利害のみを目標としてゐたからである。

 ドイツ國會議員諸君! 余は又その理由として諸君に回想して戴き度いのはイギリスが一九三九年初夏及び盛夏に又もや多數の國々に對してドイツが之に侵入しその自由を剝奪する意向を有してゐるかの如く主張して、之等諸國に援助を申し出た事である。隨つてドイツ國及びドイツ政府はこれは毫も事實に即せざる單なる想像に過ぎないものであると確信を以て斷言し得たのである。

バルチツク諸國の迷蒙

 加之英外交に乘ぜられて一の戰爭がドイツ國民に强制せらるる樣な場合にはドイツはその戰を極めて高價な犧性を拂つてのみ遂行可能な所謂二面作戰により敢行するより他はないといふ冷靜な軍事上の認識を得たのである。更にバルチツク諸國、ルーマニ