Page:Iki-no-Kozo.djvu/127

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區劃の仕方によつて、媚態の二元性が表現されてゐる。材料上の二元性は木材竹材との對照によつて表はされる場合が最も多い。永井荷風は「江戶藝術󠄃論」のうちで次󠄄のやうな觀察をしてゐる。『家は腰高の塗骨障󠄂子を境󠄂にして居間と臺所󠄃との二間のみなれどの濡緣の外には聊かなる小庭󠄄ありと覺しく、手水鉢のほとりよりの板目には蔦をからませ、高く釣りたる棚の上には植木鉢を置きたるに、猶󠄄表側の見付を見れば入口の庇、戶袋、板目なぞも狹き處を皆それぞれに意匠して網代、船󠄄板、洒竹などを用ゐ云々』。且つまた、『竹材を用ゆる事の範󠄌圍並に其の美術󠄃的價値を論ずるは最も興味ある事』であると注意してゐる。およそ竹材には『竹の色許由がひさごまだ靑し』とか『埋られたを