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破提宇子
夫、提宇子門派、初入の人に對しては七段の法門あり。其初段の所詮と云は、天地万像を以て能造の主を知り、四季轉變の時を違へざるを以て其治手をしる。譬へば一宇の殿閣を見ば、其巧匠あることをしり、家內に壁書あつて、其旨に隨て家中治まるを見る時は、必主人あることを知は常の習なり。去れば天もなく地もなく、一物なかりし空寂の時ありしに、此天地出現し、天には日月星宿光を放つて、明歷々として東涌西沒の時をたがへず。地には千草万木あつて飛花落葉の節をあやまたざるは、能造の主なくんばあるべからず。此の能造の主を
破して曰〈一本曰ヲ云ニ作ル〉、是何の珍しきことぞ。諸家何れの所にか此義を論ぜざる。有㆑物先㆓天地