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げたる。まことにたちまちに思ふ事なりぬべきやうにおぼえて心ゆけ。きよらなるかねよくつけたる心ゆくかし。かはぶねのくだりざまも。

うれしきもの。君の御まへに人々あまたさぶらはせ給て物がたりなどせさせたまふに。我にしもみあはせさせ給ひて。ものがたりなどせさせ給ておほせられたるいとうれし。又さるべきことあるに。人えられなどしけるを。みしりてしもにあるに。めしいでられたるこそめいぼくありておもたゞしう。いましばし世にもありぬべき心ちすれ。又中しやうじをばはなちてはかみえたるいとうれし。そのなかにしきしうすやうはさらなり。みちのくにがみしろくきよげにおもてうるはしきはいとうれし。ものへだててきくに。人のいらへにさもいはゞやとおもふ事をいひあてたる。あいなくうれしけれ。四月ついたちに。はじめてほとゝぎすの聲聞つけたる心地いとうれし。いどみたることにかたちよき人々のおまへにおほくさぶらひて。ところもなかりけるに。まうのぼりたるを。とをくより御らんじつけて。そこもとあけよとてちかくめしよせられたる。ものへなどおぼしめして。かゝせ給ける御ふみのよくかゝれたりとおぼしめしけるを。これはいかゞとて。みせあはせさせ給へるこそかぎりなくうれしけれ。

いひしらずいふがひなくとりどころなき物。くろつちのかべ。としおいたるかたい乞兒。くろくふりたるいたやのもる。くろぬりのくしのはこのすみわれたる。ひ中のようじ。ゑせずみのくちたる。かほにくさげなる人の心あしき。くろゐのくしばらひ。くろがねのけぬきの物ぬけぬ。やきすゞりるそひめのぬりたるといふことをぞ