Page:Gunshoruiju27.djvu/344

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ちごあそばしする所のまへわたりする。よきたき物たきてひとりねたる。からかゞみのすこしくもりたるみたる。よきおとこの車とゞめて。ものあないしたる。かしらあらびけさう化粧して。かうにいりたるきぬなどきたる。みるべき人もなき所なれど。心ひとつにおかしうおぼゆ。まつ人あるよは。かぜの吹たるをときくにも。ふとおどろかれて。まづ心ときめきこそせらるれ。又男も女も。かたちよき人みるこそあやしう。我もよからむとおぼえて。心ときめきせらるれ。

みるにつけてすぎぬるかたこひしきもの。かれたるあふひおりからしさうしの中などにありけるをみつけたる。おさなかりしときもたりしあそび物。あはれなりし人のふみのありけるを雨などのふる日さがしいでたる。こぞのかはほり。二あゐむらさきのさいてのをしまかれたるがものゝなかにありける。

心ゆく物。よくかきたる女ゑのこと葉ぐしたる。ものみのかへさにをのこどもおほくよきくるまにいみじうのりこぼれて。うしよくやる物にて。車はしらかして返りたる。しろくきよげなるみちのくにがみに。いとほそくかくべくにはあらぬふでして。くつろかにきよげなるてしてかきたるふみこそみるにすゞろに心地ゆけ。うるはしきいとのねりぐりしたる。てうばみ調食うつに。てうおほくつゞけてうちたる。物よくいふ人どち物がたりしかはしたるきゝたる。くちきゝたるをんやうじにて。ずそ咒詛のはらへしたる。ねおきてのむ水。物まうでしてものまうさするに。てらにてはほうし。やしろにてはねぎなどのしたゝかにわが心ちのうちおもふ事などをあやまち歟てまさゞまにをしはかりつゝ。きゝよく申あ