Page:Gunshoruiju27.djvu/330

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みつゝ。たゞさきだちにさきだちぬる。つねはさしもめでたかるまじき事なれど。そのおりにあたりては。あなうらやましとおぼゆ。六月のむまの日あか月にといそぎしかど。さがのなからばかりあゆみしかば。三ときばかりにきやうあつくなるまゝに。まことにわびしくなごやからで。よき人もあらむものを。なにしにまうでつらむとなみだもおつるまでおぼゆれば。しばしはやすむとてゐたるに。とし四十よばかりなる女のつぼさうぞくにはあらで。たゞひきはゞみたるが。なゝたびまうでし侍なり。三たびはまうでぬ。いまよたびはことにも侍らず。ひつじの時にま。ゑこう回向し侍ぬべしとしりたる人にや。みちにあひたる人に。うちいひかけてくだりゆきしが。うしろみやりしが。たゞいまあれが身にならばやと。まことにうくおぼえしなり。おとこにても女にてもほうしにてもよきこもたる人は。いみじううらやまし。かみいみじうながうきよらなる人も。うたもその人こそさりともと人にしられて。さるべき事のおりにも。まづとりいでらるゝ人。いとうらやまし。よさ所にさぶらふ人おほかるなかにも。さるべきこゝろはづかしき所などにつかはすべきおほせがきなど。おまへにあまたさぶらふを。さしおきてしもなるをめして。御すゞりとりおろし。かみなどたまはせて。かゝせさせ給ふなどは。うらやましかりぬべきことぞかし。さやうの事は。その所のおとななどになりぬれば。いとしもすぐれねど。をのづからことにしたがひてかく物なり。されどこれはさやうにはあらず。うときかむだちめなどのさうさせ給ふ事あるなり。ことしは心にくき人のむすめのはじめてまいらんなど。まう歟すが