Page:Gunshoruiju27.djvu/329

提供:Wikisource
このページは校正済みです

よみあげなどしたる氣色。いときらしかめり。七月のすまひ人。みやのへのいをども。かたさけみさるのこすりこ。御讀經佛名などのおりの御さうわくしのたきぐち。かすがのまつりにたつ所のとねり。うづゑのほうし。たいぎやうのおりのしさう。雨ふる日。行幸のいちめがさ。五せち御前の心みの夜の御くしあげ。せちゑの御まかなひのうねべ。わたりするおりのかとり。

くるしげなる物。二ところかよひするおとこ。こなたかなたふすべられて。いづかたにも心とゞむと思ひまどひたる氣色。いとくるしげなり。夜なきするちごのめのと。こはきもののけにあづかりたるげんざ驗者。げんだにまことにはやくはよかるべきに。さしもあらぬを。人わらはれならじとて。念じいりてかぢしたる。いとくるしげなり。わりなく物うたがひするおとこに思はるゝおんな。心いられしたる人。ひとの所のさるべき人にて。時にあひたる人も。やすらかにはあらざめりかし。それはくるしきにつきてもよし。

うらやましき物。經ならふとていみじうたどたどしくわすれがちにて。返々おなじ事のみよまるゝに。ほうしはことはり。おとこも女もくるとやすらかによみたる人こそあれ。かやうにいかならむおりあらむとすらむと。わびしううらやましうおぼゆれ。心地などあしうわづらふことありて。ふしたるおりに。思ふことなげにて。うちわらひなどして。心ちよげなる人。いとうらやまし。いなりまうでするおりに。なかのみやしろのほど。たえがたくくるしきを思ひをこしてやうのぼるに。こよなうおくれてくる人のいさゝかことども思ひたえて。するとさしあゆ