Page:Gunshoruiju27.djvu/324

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又しのびたる人のふみもひきそばみてみるほどに。うしろより人のにはかにひきとられたる心ちいとわびし。庭にはしりなどしぬるををひていけど。我はのもとにとまりぬれば。したりがほにひきあけてみたてるをうちにてみるこそいかにせむと。ねたくとひいでぬべき心地すれ。又人のがりやるふみをとりたがへて。みすまじき人に見せたるつかひ。いとねたし。かゝるわざしたりなどいふをげにいとおしうあやまちけりなどはいはで。くちこはくうちいらへておるは。人めをだに思はずばはしりもうちつべし。ものへゆくみちに。きよげなるおとこ車のあひたるなどをたそとみむなど思ふほどに。ふとすだれおろしてゆきちがひぬるこそねたけれ。はつせにまうでてつぼねにゐたりしに。あやしきげすどものうしろをさしまかせつゝゐなみたりしこそいとねたかりしか。いみじき心を思ひおこしてまうでつきたるに川のおとなひのおそろしく。日くれはしをのぼる程などのおぼろげならずこうじて。いつしか佛のおまへをとくみたてまつらむと思ふに。しろき衣きたるほうしのみのむしのやうなる物どもなどあつまりて。たちゐぬかづきなどしてつゆばかりところもをかぬけしきなるは。まことにねたくてをしたふしもしつべき心地せしが。いづくもそれはさぞあるかし。やむごとなき人のまうでこもらせ給へる御つぼねのまへばかりをこそはらひなどもすれ。よろしき人のは。せいしわづらひぬべし。さはしりながら。なをさしあたりてさるおりは。いとねたきなり。

かたはらいたき物。よくねもひきとゞめぬことをよくもしらべて。心のかぎりかきたてたる。まらうどのきて物などいふほどに。わ