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るちごのかほ。すゞめの子のねずなきするにおどりくる。二ばかりのちごのいそぎてはひくるみちに。いとちいさきちりなどのありけるをみつけて。いとおかしげなるをよびにとらへて。おとなに見せてゑみたるいとおいし。うつくし。又あまそりなるほどのめに。かみのいるをかきはやらで。うちかたぶき物などみたるもうつくし。又はかまなどきたるが。たすきがけにゆいたる。こしのかみのしろくすきてありくもうつくし。おほきにはあらぬ殿上わらはのさうぞきてありくもうつくし。おかしげなるちごをあからさまにいだきてあそばしなどするほどに。かいつきてねぬるいとらうたし。ひゝなのてうど。八九十などのおのこゞのこゑはおさなげにてふみよみたる。いとうつくし。

ねたきもの。人のもとにこれよりやるも。又返事にてもふみかきてやるに。つかひのいぬるのちに。歌のもじを一二にても。さこそいふべかりけれなど思ひなをしたる。とみの物ぬふに。かしこくぬいはてつと思ひて。はりひきいだすほどに。いとのしりをかためざりければ。やがてぬけぬる。ひがぬひ僻縫したるもいとねたし。又ゐたる所の庭にせんざいなどうへてみるを。ながびつ長櫃うちもたせて。すきなどひきさげたる物ら。たゞいりにいりきて。せいするをもきゝいれず。ほりていぬるこそわびしくねたけれ。よろしきおとこなどのあるおりはさもせぬ物を。女どちはいみじういへど。たゞすこしばかりなどいひて。いぬるのちはいとかひなし。ずらふ受領などの家にさるべき所のしもべなどいふもののきて。なめげにあさましげなる事どもいひて。さりともわれをばいかゞせむと思へる氣色。いとねたげなり。