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めかしうおかし。まつりのかへさ。あをむまは。おほうはうちにてみるは。いとせばきへいのうちなれば。とねりどものかほのきぬきもあらはれて。しろきもののりつかぬ所は。くろきにはにゆきのむらぎえたる心地してみぐるし。むまのあまりちかくて。あがりさはぐもいとおそろしぐて。よくもみずひきいられぬかし。

正月一日。三月三日。うらゝかにてりたる。五月五日は。やがて日一日くもりくらしたる。七月七日は。つとめてひるまではくもりて。夕がたよりはれて。やうそらに雲なくなりもてゆきて。くれはつれば月いとあかく。ましてよふくるまゝに。ほしのすがたあらはにみえたるこそおかしけれ。九月九日は。あか月がたより雨すこしふりて。菊の露もこちたくおほひたるわたなど。いたうぬれたるぞ。うつしのかまさりておかしき。つとめてはやみたれど。そらはなをくもりて。やゝもせば。ふりおちぬべくみえたる。いとおかし。

めでたきもの。后宮はじめ。又やがて御うぶやのありさま行けいのおりなど御こしよせて名たいめんなどしたるほどいとめでたし。そのころ一の人の御かすがまうで。さらぬ御ありきもめでたし。今上一宮などやうにやむごとなきみこたちのまだわらはにおはしますをいだきあつかひたてまつる。御おほぢ祖父はさらなり。おぢなどにても。見たてまつりたまへる氣色こそよにめでたけれ。御むまひかせて御らんじ。殿上人くら人などめしつかひあそばせ給ふほどなど。よそ人もみたてまつるは。げにこそまづえましけれ。した地のらでんのはこ。からくみ。よくそめたるむらごのいとひきときてみたる心地。から