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てゞ。もののうしろにて。よこぶえをいみじう吹たてるを。あなおもしろときゝたまふほどに。なからばかりよりうちつけて。吹のぼらせたるほどこそ。たゞいみじううるはしき。かみもたらむ人もたちあがりぬべき心地すれ。やうことふえしらべあはせてあゆみいでたるほど。せむかたなくおもしろし。

日はいり日。月はありあけ。雲はむらさき。風吹日のあま雲。日いりはてたる山ぎはのまだなごりとまれるに。うすばみたる雲のほそくたなびきたるいとあはれなり。いまあけはなるゝほど。くろき雲のやうきえて。しろくなりゆくおかし。あしたにさるいろとかや。ふみにもつくりためる。

ゆきは。ひはだや。しぐれあられはいたや。冬はゆきあられがちにこほりし。かせはげしくて。いみじうさむきよし。

夏は日いたうてり。あふぎなどもかたときもうちをかず。たへがたうあつきぞよき。なのめなるはわろし。

つかさは。左右大將。權大納言。權中納言。宰相中將。三位中將。春宮大夫。中宮のもあしからず。じゝうの中納言。殿上人は。權中將。四位の侍從。弁少將。くら人の弁。四位少將。

ずらう受領は。いよのかみ。きのかみ。いづみのかみ。やまとのかみ。權守は。しもづけ。かひ。ゑちご。あは。

やどりづかさならで。たゞかうぶりえたるは。式部大夫。左衞門大夫ぞよきかし。

やまひは。むね。あしのけ。さては。其こととなく物くはでなやみたる。

女の宮づかへ所は。きさいの宮。一品宮。齋院宮。つみふかけれどおかし。ましてこのごろのはめでたし。

みものは。行幸さらなり。春のも冬のもりんじのまつりいとなま